「牛が山を駆ける牧場」奮闘記

新米 牛飼いの日常をお届け

「しのぶ」ちゃん出産 & 名前の由来について

我が家のお母さん牛「しのぶ」が前の土曜(6/8)に子牛を生んでくれました!

骨格がしっかりして元気な女の子です。

ありがとう、「しのぶ」さん...

「しのぶ」は良いお母さんで、よく乳を出して子牛もケアしてくれます。

小柄ですのでエサも少量でよく、しかしながら妊娠しやすくて健康な子供を生んでくれる優秀な母牛です。

↓放牧場での様子。お尻を向けているのが「しのぶ」さん

実は「しのぶ」は、子牛で買ったときは「さちこ10の4」という名前でした。

「さちこ10」という牛が「4番目に」生んだ子牛ということで、おそらく農家さんの管理しやすいようにつけたのだと思います。

我が家は飼育している頭数も少ないですし、愛着を持てる名前にしよう!ということで牛の登記(和牛はこんなことがあります)で「第一しのぶ」という名前にしてもらいました。

 

ではなぜ「しのぶ」にしたか...ここに書き残しておきたいと思います。

 

5~6年ほど前、中部地方で会社員をしていた時代のことです。

当時私は段ボール資材の管理担当として主に倉庫で仕事をしていました。

そこにはいつも親切で、全く骨惜しみせず真摯に仕事をされている年上の女性がおられました。

私はとても可愛がっていただいていて、またよく仕事やプライベートの話をしていたのですが、私が会社を辞めて牛飼いになるというお話をすると、こうおっしゃったのです。

「大島さん!いつか牛に私の名前をつけてよ!」

話が読めた方が多いと思いますが、その女性の名前が「しのぶさん」だったのです。

 

当時小さかった私の子供の保育園袋も作ってくださったりし、また妻も「しのぶさん」に会う機会があったりして家族でお世話になっていました。

うちの奥さん(社長です)も「しのぶさん」がおっしゃったことをよく覚えていたのだと思います。

元々の「さちこ10の4」という名前から他の名前に変えてあげたいね~と二人で話しているときに、奥さんの方から『「しのぶ」がいいんじゃない?』と提案してくれたのです。

 

そういう訳で、遠く中部で住まわれている「しのぶさん」の思い出は、我が家の働き者の母牛の名前に継がれることになりました。

 

人間には1日24時間しか時間がないし、歳をとってくるとその24時間も自由に使えなくなります。

親しかった方と連絡を取るのも、一度 距離があいてしまうとなかなか難しくなってきます。寂しいことですが、しかし人生はそういう側面と付き合っていかなければならないのです。

だからこそ、こうやって思い出を何らかの形で現在に引き継ぎながら生きていくというのは、豊かなことだと思うのです。私はそう考えますが、皆様はどうでしょうか...

 

しのぶさ~ん、今日も「牛のしのぶ」は元気です!