「牛が山を駆ける牧場」奮闘記

新米 牛飼いの日常をお届け

子牛が産まれました/そして母牛を傷物にしました(汗)

今朝 牛舎に行くと子牛が産まれていました☺

冬場は子牛が凍死することもあるので、出産間近の牛がいるときはマメに牛舎に様子を見に行きます。

 

しかし夏は暖かいので凍死することはないということもあり、気を抜きまくってしまっています。直近の5頭連続で勝手に産んでくれていたパターン...ヤキモキすることもなく手間いらずで有難いことです。

 

この母牛は今回が初めての出産でした。

こうしたとき、「ちゃんと子牛を可愛がってくれるか」「ちゃんと乳を飲ませてくれるか」など心配をします。牛によっては、生まれたてのわが子をドツくのもいるのです。2回目以降の出産なら母牛の特性がわかっているのであまり心配はしないのだけど...

 

この母牛の場合は、子牛に関心があってとても可愛がりますが、うまく乳が飲ませられないタイプでした。

 

子牛が立ち上がって乳に向かおうとすると、何かよくわからん心配をしているのか、子牛を鼻でつついて尻もちをつかせるのです。何度も何度も。母牛の様子から、子牛を思い遣っているのが分かるので、その空回りに心を痛めます。

 

「そうじゃない!乳を飲ませるんだ!初乳を飲ませるんだ!!!」

 

飼育者はそう思ってヤキモキしますが人間の言葉が伝わるはずもありません。

疲れてしまったのか、とうとう子牛は座ってウトウトし始めました。

 

もう、強制的に乳を飲ませるしかないな....

母牛が蹴らないように足をロープで固定します。

 

そして無理やり子牛を起こして口先をおっぱいまでもってゆき、モグモグ飲み始めてやっと一安心です。初乳には母牛の免疫の力が入っていて、これを飲むことによって子牛が強くなるんです。

 

一方で、悲しい出来事がありました。

母牛がロープを嫌がって尻尾を振り回し、尻尾が柱にからまったのですが、それでも嫌がって腰を振り続けていました。

 

「ああ、あかん、尻尾がちぎれる。やめてえぇぇぇぇ!」

 ※朝6:30、ひとりぼっちの牛舎にて実際の叫び

 

ブチっ

 

尻尾の先がちぎれてしまいました...

 

かっこいい尻尾だったのに、情けない姿になってしまいました。

母牛がまったく気にしていないのが、なお心苦しい。

 

尻尾の先の毛はまた伸びてくるから良いのですが、元気な子供を産んでくれた母牛に対して申し訳ない気持ちです。ごめんね...

 

 

出産後の母牛、特に初めての出産を終えた母牛を見ると、堂々と誇らしくなって一皮も二皮も剥けたように見えるのは私だけでしょうか...?