「牛が山を駆ける牧場」奮闘記

新米 牛飼いの日常をお届け

センチメンタルに牛のことを語る、など

怪我はしているけれど、家にいてばかりではいけない!

機械仕事なら出来るし、やらなければ牛の飼育が回っていかないので松葉杖をついて牛舎内を闊歩することになります。

せっかく牛舎に来たので大好きな牛「ふじ」と会話をします。

この牛、「ふじ」と呼びかけると、クリクリした目を眠たげにこっちに向けて反応してくれます。自分の名前が呼ばれているって分かっていると私は思っていて、情が通じる大好きな牛です。人間が好きで、なでてもらえると思うと寄ってきて甘えてくれます。

しかし、この牛は私が初めてお肉にすると決めた牛でもあるのです,,,

「ふじ」は私たちのことを疑いもせず毎日モリモリとエサを食べて、期待に応えて太ってくれています。しかし、私たちは自分のことを疑っていないこの子を最後に裏切って屠畜するのです。

何回も何回も納得したような気持ちになりますが、やっぱり自分の中で納得していない部分があって葛藤しています。

この先どれくらいの牛を屠畜するとこの葛藤がなくなるのでしょうか。葛藤がなくなることが本当に良いことでしょうか。

 

話が逸れてしまいました。

弊社の社長(奥さん)と一緒に機械仕事をしていきます。

今日は大きなマシュマロ、ではなく草のロールを倉庫に据える作業です。

狭いところをクレーンゲームみたいに捜査して、トラック上から草置き場へ移動していきます。

足の悪い私に代わって、アチコチ動く作業は奥さんがフォローしてくれます。

車のあおりを下げてもらったり、ロープをかけてもらったり、ロープにフックをかけてもらったり,,,

そんなことしながら作業終了まで1時間くらい時間を使ってしまいます。

もっと時短する工夫をしなければいけません。

 

そんなことしながら、発情した牛の種付けをします。

↓枠場に固定されて人工授精を待つ「第28ほこた」。我が家では「ほこちゃん」とか「ほこた先輩」とか呼ばれています。すごく愛情深い牛で、他の大人の牛やをペロペロ愛撫してくれたり、自分のじゃない子牛におっぱいを飲ませてくれたりします。以前に飼育されていた方から、妊娠はややしづらい牛だと聞いていますが、それでも長く付き合っていきたいと思う牛です。

人工授精が終わってホットひといき、水をズ~っと飲む「ほこちゃん」。

近くによって来て奥さんに甘えようとする、別の牛の「たきやま」。

油断していると角でグリグリされて痛いので注意が必要です。

 

なんか今日はすごく牛のことをセンチメンタルに語ってしまった気がします(汗)。

そんなことしたり感じたりしながら肉を売るプロジェクトの構想をしたりして過ごした一日でした。