「牛が山を駆ける牧場」奮闘記

新米 牛飼いの日常をお届け

「ふじ」を屠場へ搬入してきました

今日は下の娘が体調を崩したのでお休みでした。

でも家でじっとしていられないようで、牛舎に遊びに来てくれます。

ついでに草を積むのを手伝ってくれました。

少し手伝うと疲れたようで、私にだっこされながら寝入ってしまいましたが...

 

今日は「ふじ」の屠場への搬入日です。

 

肥育していて、「かなり太ったな~」と感じたこともありましたが、途中で食欲が落ち、終盤は体重が落ちてしまってそんなに大きくない仕上がりになってしまいました。

ポテンシャルを引き出してあげられなくてごめんね。

 

牛の運搬にあたり、いつものように枠場をトラックに積み込みます。

トラックに乗るのに抵抗すると思っていましたが、大人しく乗ってくれました。

「ふじ」は人懐っこい可愛い子なのです。

でも、そうやって抵抗しないのがまた物悲しい。

運転中なのでここからの写真は撮れていませんが、屠場まで1時間半ほどかけて運転していきました。

「ふじ」はここ本山町で生まれて、子牛市場に出るために隣の町へ半日ほど行った後、我々に買われてまた本山町に戻ってきました。それ以来ずっと本山町から出ていません。

荷台から見る景色は「ふじ」にとってすべて初めての光景です。

川を見たり、たくさんの車をみたり、どんな気持ちだったろうな...

でも、明日の今頃は「ふじ」は生きていない。

運転しながら泣いてしまいました。

 

でも、悲しみに浸っている時間もなく、あっという間に屠場に到着するのです。

牛を繋ぐ場所に連れていくと、すでに屠場にあずけられている牛たちがいます。

「ふじ」は屠場の責任者の指示でこちら側へつなぎました...

隣に牛がいなくて寂しくないかな...水はちゃんと飲ませてもらえるのかな...

最後まで大人しくて、いい子にしている「ふじ」。

少しくらい暴れてくれた方が私としては納得がいきます。

賢くしてくれているのが、逆に悲しい。

牛の私に対する信頼を最後の最後に裏切っている感覚になるのです。

 

「ふじ」は明日の午後一番に屠畜されます。

 

本当は明日の朝まで一緒にいて、屠畜する寸前に運び入れてあげたかった。

でも、搬入が初めてだったから自信がなくて前日搬入にしてしまった。

最後の夜に不慣れな環境で寂しい思いをさせてしまった。

頼りない飼い主ですみません。

今まで本当にありがとう。